突然ですが、もし自分が会社の出張旅費を立替したら会社から口座振込で対応されますか?
それとも、直接現金手渡しでしょうか?
未だに会社が小口現金を持って精算している。
という会社は少数派だと思います。
ちなみに、私の会社は未だに小口現金による現金手渡しです。
今日は、
- 会社が小口現金を持つリスクとコストってなに?
- なんで会社が小口現金を持つことをやめられないの?
- 法人クレジットカードを持つリスクってあるの?
について解説したいと思います。
小口現金ってなに?
小口現金とは、字の如く会社が少額の現金を持つことです。
その現金は、小口現金出納帳や、現金有高表、金種表を用いて管理します。
一般的には小口現金担当者を任命し、担当者が
- 銀行からの引き出し
- 現金による支払い
- 各種帳簿の記帳、管理
- 小口金庫の管理(金庫の鍵の管理など)
を行います。
各種帳簿は上司などが、
- 小口使用の決裁を行う
- 領収書と現金が適切に管理されているかの確認
- 適切な支払いに使われていないかの確認
などを行うことで小口現金担当者と上司が相互に不正に使用させていないかを牽制します。
小口現金を管理するリスクとコストとは
紛失・盗難リスク
銀行から引き出して、金庫に入れるまでの間、紛失する可能性や、盗難されるリスクがあります。(通常は使用金額に応じた小口保険をかけることになりますが)
また、金庫に入れたあとも数えてみたら過不足が生じることもあるでしょう。
金種にかかる両替手数料コスト
様々な金額の支払いに対応するため、様々な硬貨や紙幣を用意する必要があります。
すべて一万円札というわけにはいきません。
その両替手数料も昔は無料だったこともありますが、最近はほとんどのケースで両替手数料が発生します。
管理コスト
一般的には、預金通帳を管理させるために利息計算書や残高証明書の発行を求められます。
その発行手数料がコストとなります。また、本部から事業所の小口口座に振り込む際の振込手数料もかかります。
当然ですが、小口現金担当者への人的コストやその業務時間もかかります。
小口現金がなくせない理由
上記のようなリスクやコストを払ってまで小口現金を持つ理由があります。
現金はあらゆる支払いに対応できる
当然ですが、現金はキャッシュレス専門の店舗でない限り、あらゆる実店舗の支払いに対応できます。
小口の使用権限を事業所に与えることができる
使途や保有限度額を制限することで、細かい少額の支払いが事業所でも可能になります。
本社の経理負担軽減になるだけでなく、少額であれば事業所判断で支払い可能になり、事業所の裁量が増えるので機敏な対応が可能になります。
キャッシュレスや個人口座への振込システムの構築と移行にもコストがかかる
キャッシュレスや個人口座への振込に対応できるようなシステムを構築するには、数十万から数百万単位の運用コストがかかります。また、導入までの時間や従業員への教育も必要になります。
また、いままで個人立替であれば、現金を渡すだけなので振込手数料がかかりませんが、個人口座へ振込となれば振込手数料がかかります。
これらの時間やコストは大会社であればなおさら高く、そこまでして導入するべきか判断しなければなりません。
法人クレジットカードを持たせれば小口問題は解決するか?
小口現金の代わりに、法人クレジットカードを持たせることにも、メリットとデメリットがあります。
法人クレジットカードを従業員に持たせるメリット
管理が楽になる
使途もデータを落とすことができるので、費目が明確で管理が楽になります。
各種帳簿を管理する必要がなくなり、人的コストも少なくなります。
ただし、領収書や明細の保存、管理は小口現金と変わらず必要です。
振込手数料などがかからなくなる
支払先がクレジットカード払い可能であれば、振込手数料はかかりません。また、残高証明書などの発行手数料、両替手数料も当然かかりません。
支払いまとめてを遅らせることができる
クレジットカード払いであれば、支払先がクレジットカード会社だけになり、管理が簡単になるだけでなく、支払日を翌月末払いなどに遅らせることができます。支払いを遅らせた分債権を回収することで資金繰りを有利にすることができます。
法人クレジットカード払いを従業員に持たせるデメリット
与信がないと作れない
個人がクレジットカードを持つ場合と同じですが、信用がない会社はクレジットカードを作ることができません。
年会費がかかる
これも個人がクレジットカードを持つ場合と同じですが、年会費がかかります。
年会費を上回る金銭的メリットがあるかどうかが、ひとつの導入するかどうかのラインになります
実は内部統制上の問題が大きい
上記のデメリットは個人のクレジットカードと共通の問題ですが、法人クレジットカードには、内部統制上の問題があります。
小口現金であれば、使用者は小口現金担当者や上司といった複数の決裁を経て使用者に支払いとなりますが、法人クレジットカードは持っている使用者の意志だけで支払いができてしまいます。
カードをお店の人に渡すだけですから当然ですね。
どうやって不正利用がないようにするか、その仕組みづくりが課題になります。
小口現金がなくなると困る人がいる?
小口現金がなくなると、一度個人のクレジットカードで立替えていた人は困るかもしれません。
一度個人のクレジットカードで立替支払いをすると、その分個人のクレジットカードにポイントが付与されます。
本来は会社の経費を払った際に付与されたので、その利益は会社に帰属させなければなりません。そのあたりはグレーになっているのが実情で、そのままポイントの利益をもらっている人にとっては死活問題かもしれません。
まとめ:小口現金を廃止するのは大きな会社ほど難しい
いかがでしたでしょうか。
小口現金を扱うにはリスクもコストもかかりますが、法人クレジットカードや個人口座へ振込の対応に移行するのも、経費精算システムを導入する手間と新たなコストが掛かります。
さらに、法人クレジットカードを扱うには内部統制上の問題があり、規定の整備も必要になるでしょう。
新しい会社であれば、はじめから現金をおいていないということも全然ありえます。
しかし、世の中はキャッシュレスの時代ですので、全国に事業所がある会社であっても小口現金が縮小していくのは避けられないでしょう。
経理や財務についての話題もこれからも書いていくつもりです。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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